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日本柔道整復専門学校同窓会 第66回 研究会 講演内容について

卒業生

令和5年6月25日(日)開催の日本柔道整復専門学校同窓会 第66回 研究会は、『運動器疾患に対する末梢神経からのアプローチ』 について本間琢英先生にご講演いただきます。
講演にあたり、本間先生から下記のコメントをいただきました。
研究会の告知動画も作成しましたので、是非ご確認ください。

開催時間や会費等、参加申込等については、学校ニュース 2023.5.12 「日本柔道整復専門学校同窓会 第66回 研究会のお知らせ」をご確認ください。

研究会告知動画は⇒こちら

講演要旨
『運動器疾患に対する末梢神経からのアプローチ』

昨年度の講演で、柔道整復師の運動器治療に対するエコーの実用性と有用性を説明し、エコーにより、骨・靱帯以外の組織も可視化され、さらにはそれらの静態・動態が直接観察されることについて話した。
エコーを活用した運動器治療については、医師や理学療法士の間では論文数や学会発表数が最近ものすごい勢いで増えており、その関心の深さと有効性そして普及の速さが窺われる。
このような状況下で、以前より様々な運動器疾患を扱っている柔道整復師においても、エコーを骨・靱帯の観察だけではなく、その他の組織の観察そして治療に活用し、今以上の治療結果を出してくことは、柔道整復師を取り巻く環境や最も大事な患者の利益を考えた場合必要なことと考える。
医師がエコーガイド下で行うハイドロリリースは、当初組織間や組織の周囲に生理的食塩水を入れることが多かったが、最近では殆ど末梢神経周囲に行うようになり、驚くべき効果をあげている。
一方、注射ができない理学療法士は、トップリーダーらがハイドロリリースに近い効果を出す手技を開発し、その後に運動療法を実施し、良好な治療結果を得たという発表が最近枚挙にいとまがない。
今回は、特に末梢神経にフォーカスをあて実技も行い話を進めようと思う。対象組織を支配する末梢神経の周囲環境改善をエコーガイド下で行い、その後徒手療法を行うことにより、今まで治療に難渋した症例もかなりの治療回数や期間の短縮が可能となる。このことは患者にとっては大きな利益でありまた柔道整復師に対する信頼にも繋がる。
柔道整復は日本伝統治療と称される。それ故か、私自身もそうであったが、後ろ向きや現状維持に陥りがちになる。しかし運動器疾患や患者のニーズが多様化する現在、今まで通りの考えや治療法では決して患者さんの満足度には繋がらないことも事実である。
私の約40年にわたる柔道整復師人生の中で、エコーの出現は最も大きなインパクトであり、そして私の運動器治療を大きく変えることとなった。
確かに、新たなことを学ぶことは大変なことであり、時間と労力と費用を要する。
令和5年4月14日付の朝日新聞「天声人語」に立教大学総長が入学式で話された言葉が紹介されていた。
「固定化された一つの物差しでは、もはや生きていくことはできない」
この言葉が示すように、私自身、様々な「物差し」を持たなければ、今後取り残され淘汰されてしまうのではないだろうかという思いがありエコーを新しく勉強し出した。
そして今回の講演が、皆様の新しい「物差し」の一つとなってくれれば、柔道整復師のひとりとしてこれほどの喜びはない。

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